2017年 運営管理 16問目

中小企業診断士試験問題より抜粋

中小企業診断士試験問題

 

 ある作業者が第作業として穴あけ作業、第作業として曲げ作業を行う金属加工工程において、時間分析とワークサンプリングを実施した。時間分析は正味時間を計測する目的で行われ、下表はその結果を示している。また、ワークサンプリングは余裕率を算定する目的で行われ、延べ500 回の計測の中で余裕に該当するサンプルが50個得られた。
この工程で1個の部品を製造するための標準時間(分/個)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

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[解答群]
ア 2.80
イ 2.97
ウ 3.00
エ 3.08

 

【用語】

◆レイティング・・・時間観測時の作業速度を基準とする作業速度と比較・評価し、レイティング計数によって観測時間の代表値を賞味時間に修正する一連の手続き JIS Z 8141-5508

◆正味時間・・・主体作業、準備段取作業を遂行するために直接必要な時間 JIS Z 8141-5503

◆余裕時間・・・作業を遂行するために必要と認められる遅れの時間 JIS Z 8141-5504

◆余裕率・・・標準時間(あるいは正味時間)に占める余裕時間の割合を余裕率という。一単位の作業に対する余裕時間を個別に求めることはできないので、標準時間を求める際には、余裕率として与える JIS Z 8141-5504 

◆標準時間・・・その仕事に適性を持ち習熟した作業者が、所定の作業条件のもとで、必要な余裕を持ち、正常な作業ペースによって仕事を遂行するために必要とされる時間 JIS Z 8141-5502

 

【選択肢】

 

手順としては、以下のように進める。

1)観測時間を把握する

2)レイティング計数を加味した正味時間を計算する

3)正味時間と余裕時間を考慮した標準時間を計算する

観測時間は、問題文の「レイティング前の平均作業時間(分/個)」で与えられていると考える。それに対して、レイティング値を乗じ、正味時間を計算する

【正味時間の計算】

穴あけ作業→1.2×110%=1.32分/個

曲げ作業→1.5×80%=1.2分/個

2つの作業の合計の作業時間は、2.52分/個である。

 

【標準時間を求める】

正味時間の計算式は、外掛け法を用いると、

余裕率=余裕時間/正味時間

標準時間=正味時間×(1+余裕率) 

である。余裕率の求め方について、本文上余裕時間の計測値について言及がないが、ワークサンプリングで余裕率を計算する、との記述がある。よって、

余裕率=50/500=0.1

 

よって、標準時間=2.52×(1+0.1)=2.772

 

選択肢の中に、まったく同じ数値はないが、最も近いのは、ア 2.80

 

 

【所感】

標準時間、正味時間、余裕率の関係式を記憶しておく必要あり。