2018年 企業経営理論 1問目
中小企業診断士試験問題より抜粋
企業の多角化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 外的な成長誘引は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件であるが、主要な既存事業の市場の需要低下という脅威は、新規事業への参入の誘引となりうる。
イ 企業の多角化による効果には、特定の事業の組み合わせで発生する相補効果と、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある。
ウ 企業の本業や既存事業の市場が成熟・衰退期に入って何らかの新規事業を進める場合、非関連型の多角化は、本業や既存事業の技術が新規事業に適合すると判断した場合に行われる。
エ 事業拡大への誘引と障害は、企業の多角化の形態や将来の収益性の基盤にまで影響するが、非関連型の多角化では、既存事業の市場シェアが新規事業の市場シェアに大きく影響する。
オ 内的な成長誘引は、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件であり、既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したいという非関連型多角化に対する希求から生じることが多い。
【用語】
相補効果・・・コンプリメント効果(相補効果)とは - マネー用語辞典
【選択肢】
ア・・・適切。
イ・・・不適切。相乗効果は、費用の低下に紐づくわけではないと考える。
ウ・・・不適切。本業や既存事業の市場が衰退期に入っているので、新規事業と既存事業の適合性は重視しなくてよいと考える。
エ・・・不適切。「非関連型の多角化では、既存事業の市場シェアが新規事業の市場
シェアに大きく影響」が不適切と考える。
オ・・・不適切。「内的な成長誘引は、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件」は正しい。一方、「既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待」については、相乗効果を期待しているわけではなく、資源を有効利用したい、という要求だと考えられる。