2016年 企業経営理論 30問目

中小企業診断士試験問題より抜粋

中小企業診断士試験問題

 

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
マーケティング概念は、今日に至るまで複数の②段階を経て発展してきたとフィリップ・コトラーは指摘している。近年のマーケティングを取り巻く環境は、私たちが暮らす社会における問題解決が強く求められている点に特徴づけられる。③複雑化する世界における社会・経済的な適切さとは何か。環境面における望ましさとは何か。現代におけるマーケティング活動の実践においては、こうした点を事業のミッションやビジョン、価値の中核に据えることがますます重要になってきていると考えられている。

(設問1)
文中の下線部①に示すマーケティング概念について、アメリカ・マーケティング協会(AMA)は、現在、以下のような定義を行っている。空欄に当てはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

Marketing is the activity, set of A , and processes for creating,
communicating, delivering, and exchanging B that have value for
C ,clients, partners, and D .
[解答群]
ア A:commercial institutions B:products and services C:consumers
D:the mother earth
イ A:commercial organizations B:products and services C:consumers
D:people across the globe
ウ A:institutions B:offerings C:customers D:society at large
エ A:non-profit organizations B:products C:money
D:people in need
オ A:organizations B:outputs C:employees D:shareholders

 

(設問2)

文中の下線部②に示す段階に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア Marketing 1.0とも呼ばれる第 段階では、経済の高度化にともなって、多品種・小ロットを重視する柔軟な市場対応が重要視された。

イ Marketing 1.0とも呼ばれる第 段階では、生産者の生産能力と需要を整合するために、市場指向の考え方が採用されるようになった。

ウ Marketing 2.0 と呼ばれる第段階では、情報技術の進展に後押しされる形での展開が見られ、より優れた製品をターゲット市場セグメントに投入することの重要性が高まった。

エMarketing 3.0とも呼ばれる第段階では、デジタル技術によるオートメーションがマーケティング戦略策定における支配的なツールになることが強調されている。

オ マーケティングは、国や地域、機関の境界線を超えて共通の段階を経て、発展してきている。

 

文中の下線部③と関連する記述として、最も適切なものはどれか。
ア  CSRは、法令遵守を中核とする受動的な考え方であり、その中において企業の社会的責任が、本業と関連性のないチャリティとして遂行されるとする考え方である。

イかつて近江商人の間で実践されていた「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)の考え方は、CSV(Creating Shared Value)の基本コンセプトであるポジショニング概念の基礎となった。

ウ ソサイエタル・マーケティング(societal marketing)の考え方に従うと、マーケターは企業の利益を最大化することで、地域社会や国民経済への貢献を図ることが求められている。

エ マイケル・ポーターが提唱するCSV(Creating Shared Value)の考え方は、社会的価値と経済的価値の両立をうたうものであり、高い収益性の実現を重視するものである。

 

 

【選択肢】

(設問1)

 回答→ウ

 

 

(設問2)

マーケティング1.0→製品中心のマーケティング

マーケティング2.0→消費者志向のマーケティング

 マーケティング3.0→価値主導のマーケティング

 

ア・・・製品中心のマーケティングであり、多品種・小ロットではなく、小品種・多ロットの対応がされたと考えられる。

 

イ・・・市場指向は、マーケティング2.0の考え方であり、不適切。

 

ウ・・・正しい。

 

エ・・・マーケティング3.0は、1990〜2000年代に始まっているので、まだ、デジタル技術によるオートメーションについては、対応していないと思われる。よって不適切。

 

オ・・・共通の段階を経て、という記述が不適切と考える。

 

(設問3)

ア・・・CSRは自社の事業が社会に及ぼす悪影響を把握し、除去・改善することなので、本文の「本業と関連性のないチャリティとして遂行」という記述が不適切。

CSR(CSR/しーえすあーる)とは - コトバンク

共通価値の創造(CSV)|ダイヤモンド・オンラインPlus

CSRの呪縛から脱却し、「社会と共有できる価値」の創出を:日経ビジネスオンライン

 

イ・・・ポジショニングは、マーケティングの基本的概念のことと思われる。CSVの基本コンセプトではないと思われるので、不適切。

 

ウ・・・ソサイエタル・マーケティングは、「企業の利益を最大化」するのではなく、社会的利益を考慮する。よって、不適切。

ソーシャル・マーケティング - Wikipedia

エ・・・正しい。