2017年 企業経営理論 13問目

中小企業診断士試験問題より抜粋

中小企業診断士試験問題

 

 世界的に展開する企業にとって、本国親会社と海外子会社との関係は重要となる。グローバルな統合の必要性と現地市場への適応の必要性を軸にした多国籍企業の戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 規模の経済が作用し、現地市場への適応の必要性が低い製品を提供する企業では、通常、本国親会社のリーダーシップで、各国の子会社の能力を最大限に発揮させ現地向けの製品を開発して全体の効率性を高める。

イ グローバルな統合の必要性は低く、現地市場への適応の必要性は高い製品を提供する企業では、通常、全社方針のもと複数の国に共通する製品需要を吸い上げて集中的に生産拠点と販売拠点を整備し製品を供給する戦略をとる。

ウ 現地の習慣や文化への配慮の必要性は高く、グローバルな統合の必要性は低い製品を取り扱う企業では、通常、海外子会社が独自に製品開発やマーケティングに取り組み、現地の需要の変化に即座に対応する戦略がとられる。

エ 製品開発の固定費が大きく、各国の認可と文化的理解の必要性が高い製品を取り扱う企業では、通常、全社方針のもと集中的に生産拠点と販売拠点を整備し製品を供給することで全体の生産性を高める。

オ 製品開発の固定費が大きく、現地の習慣や文化への配慮の必要性が低い製品を取り扱う企業では、通常、国ごとに対応した製品開発、マーケティング、生産の戦略をとることで、現地のニーズにきめ細かく対応する。

 

【用語】

規模の経済・・・規模の経済・・・一定期間での生産量が大きいほど、製品の単位当たりのコストが低下する効果のこと(『速修テキスト〈3〉企業経営理論〈2018年版〉』より)

 

【回答】

ア・・・「規模の経済」が作用する場合は、資源を集中することで、製品単位当たりのコストが低下するので、「各国の子会社の能力を最大限に発揮させ」るのは適切ではない。よって、不適切。

イ・・・現地市場への適応の必要が高い製品を提供しているので、販売拠点は、集中的にしないほうがよいので、不適切。

ウ・・・正しい。

エ・・・「各国の認可と文化的理解の必要性が高い製品」なので、販売体制においては、現地の要件を取り込む必要があり、集中化すべきではないと考える。よって、不適切。

オ・・・「製品開発の固定費が大きく」&「現地の習慣や文化への配慮の必要性が低い製品」なので、生産資源、販売資源を集中すべきと考えるため、不適切。

 

【所感】ちゃんと読めば、常識的な知識で読み解ける問題で、難易度は高くないと考える。