2017年 企業経営理論 10問目

中小企業診断士試験問題より抜粋

中小企業診断士試験問題

 

 企業では、新製品開発や新規事業などのプロジェクトが円滑に進むように、さまざまな方法を用いて進捗管理を行っている。そのような進捗管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 技術開発と市場開拓が並行して事業化が進行すれば、技術開発面の課題を早期に発見して、その解消活動が販売における課題解決に結びつくので、基礎研究成果を応用研究につなぐ際のダーウィンの海と呼ばれる課題の克服に有効である。

イ 技術や市場が新規の製品の開発に取り組む場合、現場で培った経験や知識の活用が開発時間やコストを節約するキーポイントになる。

ウ 新製品の事業化では、顧客や市場の評価を早期に把握して、その結果を開発活動にフィードバックして、場合によっては開発段階が後戻りすることを許容する方が新製品の迅速な立ち上げに有利に働く。

エ プロジェクトのある段階から次の段階への移行ごとにチェックポイントを設けるステージゲート管理では、移行可否の判断基準の設定や移行可否の権限が各段階に与えられないため、管理が甘くなって見込みの低いプロジェクトを温存することになりやすい。

オ プロジェクトの複数の段階の活動を同時に並行して行うと、開発の早い段階からプロジェクト内で情報交換が進むが、情報の複雑性も高くなるので、開発期間が延びたり、開発コストが余計にかかりやすくなる。

 

【用語】

ダーウィンの海・・・製品を市場に投入した後に、厳しい市場環境の中で本当に生き残れるのかどうかを、ダーウィンの進化論になぞって名前をつけたもの。(『速修テキスト〈3〉企業経営理論〈2018年版〉』より)

 

【選択肢】

ア・・・ダーウィンの海は、製品を市場に投入した後に、製品が生き残れるかどうかという概念であり、技術開発面での課題の発見には貢献しないので、間違い。

イ・・・新規の製品の開発においては、過去の経験が、必ずしも役に立つわけではないので、コストの節約になる、というキーワードは適切ではないと考える。

ウ・・・正しい。

エ・・・ステージゲート管理にておいては、プロジェクトの失敗を懸念し、判断基準が、厳しくなりがちでなのではないかと推測する。

オ・・・プロジェクトの複数の段階を並行して実施した場合に、コストが余計にかかりやすくなる、ということはないと想像する。

 

【所感】文章が長めなので、まずは読み切るのが大変。ダーウィンの海について、正しい知識があれば、あとは一般常識で選択肢を絞れるのでは、と考える。